広島高等裁判所 昭和29年(う)309号 判決
しかしながら職権を以て調査するに、被告人両名が頒布したビラ(証一号及び二号)は、昭和二九年二月二月施行された光市議会議員補欠選挙に際し、日本共産党山口県光市委員会が、山本武善、白井清及び守田スミエの三人の候補者を適格者として推薦支持するから、全市民の票を右三人に投じるようにという趣旨を記載した文書であつて、明らかに選挙運動のために使用する文書と認めることができる。そして、これを一般市民に頒布する行為は、一面日本共産党光市委員会の政治活動たる性質を有することを否定できないけれども、その故を以て選挙運動たる性質を否定し公職選挙法の適用を排斥するわけには行かない。而して右ビラは公職選挙法一四二条一項各号所定の通常葉書に当らないことは明白である。従つて被告人両名の原判示ビラの頒布行為は同法一四二条二四三条三号に該当するものといわねはならない。然らばこれを以て同法一四二条の禁止を免れる行為としてなしたものと解し、同法一四六条一項二四三条五号に該当するものとして処断した原判決は法令の適用を誤つたものであつて、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかである。
(裁判長判事 伏見正保 判事 村木友市 判事 三井明)